コラム

パプアニューギニアで華僑の起業家精神と西洋文化に学ぶこと

投稿日:2019-02-21 更新日:

パプアニューギニアに住んでいると、オーストラリア・ニュージーランド系、中華系、インド系、アフリカ系など色々な人たちに出会います。

 

この国に移住してきている外国人のほとんどは大手の会社から駐在できているビジネスマン、または事業展開している人たち。

 

そして、出稼ぎに来ている人たちです。

 

パプアニューギニアは資源国であり、これから発展することが予想される途上国。

 

多くのビジネスチャンスがあると考え、世界中から会社や人たちが集まってきます。

 

まずは、パプアニューギニアの移民状況とその影響を見てみましょう。

 

パプアニューギニアの移民状況・影響

 

パプアニューギニアは1975年にオーストラリアから独立し、独立後も政府や企業で働くオーストラリア人が多くいました。

 

最近ではオーストラリア人の数はやや減少しており、その代わりに、英語が堪能で賃金がオーストラリア人よりも安いフィリピン系の人たちが働きに来たり、事業を展開するようになっています。

 

マニラ・ポートモレスビー間の飛行機はいつも満席のようです。

 

パプアニューギニアのメディアは、自国やオーストラリアのニュースに加え、フィリピンのドラマがよく放送されています。

 

そして、そのドラマが大人気!

 

フィリピンのセレブがパプアニューギアにディナーショーに来ることもあります。

 

パプアニューギニアではフィリピンのメディアの影響はとても大きいと言えるでしょう。

 

最近ではインド系・パキスタン系の移民も増加しています。

 

インド系・パキスタン系の人たちは医薬品・薬品にとても強く、パプアニューギニアの病院で使われる薬の多くはインド・パキスタンから輸入してきています。

 

インド系の食品も増えてきています。

 

また、中国系の人もとても多いです。(どの国でもそうですが)

 

もともとは植民地時代に広東省からプランテーションの労働力のためにパプアニューギニアに来ていたのですが、最近では福建省出身の中国人が増加しています。

 

そして、中国系マレーシア人がとにかく多い!

 

たぶんこの人たちは「華僑」または「華僑の子孫」です。

 

ポートモレスビーのスーパーマーケットもこの人たちが運営していることが多く大きなビジネスをパプアニューギニアでしている人たちです。

 

 

華僑とは?

 

「華僑」とは、海外でビジネスをする中国人の人たちのこと、中国系ルーツを持ち、中国由来の文化や事業を受け継いでいる人々のことを言います。

 

英語では、Overseas Chinese, Chinese abroad、中国語ではhua-qiaoと言います。

 

華僑といっても、マレーシア人やシンガポール人、香港人、フィリピン人、インドネシア人、台湾人、オーストラリア人などいろいろですが、みんなバイタリティーが溢れていて、学ぶことがたくさんあります。

 

ここ数年にビジネス進出してきた人たちもいますが、中には何世代にも渡ってパプアニューギニアでビジネス展開をしている人たちも少なくなく、その人たちは今ではパプアニューギニア有数の企業になっています。

 

ほとんどのパプアニューギニアの企業は、中国系が全体の半数以上を占めているのではないかと思うほど多いです。

 

スーパーマーケット、不動産、電化製品、土木関係、レストラン、美容関係など日常製品に関してほとんど華僑が経営しています。

 

 

華僑のビジネススタイル

 

すでに事業を何個も持っている人も多くいますが、新規事業を始める人も多いです。

 

一人で始められない場合、サポートが必要な場合は数人パートナーを組んでビジネスを始めることも。

 

年齢に関係なく、ビジネスチャンスを見つけたらまず始めてみる!という感じです。

 

大小関係なくどんなビジネスでも展開し、とても仕事熱心で、世界中飛び回っています。

 

華僑の社交スタイル

 

また中国系の人の場合は、社交の際にも羽振りがいい、払いがいい。

 

文化・親の教えでしょう。

 

日本人もどちらかというと払いがいい方ですね。

 

西洋人は奢ることもありますが、基本的には割り勘することが多い文化です。

 

育った環境や文化が影響することなので、どちらが良いとも言えないと(個人的には)思っています。

 

やりすぎも嘘くさいし、やらなさ過ぎもケチ臭い。笑 バランスが大事ですね。

 

華僑は、「人に施した分は自分に返ってくる」という教えだそうです。

 

 

華僑の日本人に対する評価

 

私が日本人だというと、いつもとても親近感を持ってもらえます。

 

「この前日本に行ったよ!」「日本はあれがいいよね〜!」など会話の中でも私が知らなかったたくさんの日本のいいところを教えてくれます。

 

私たちの友人に、スーパー華僑の日本通がいます。

 

私より全然日本の良いものを知っているのです。

 

「出汁や醤油は茅乃舎に限るね!」

 

「この前は六本木で8000円のフルコースのラーメンを食べたんだ。絶品だったよ!」

 

なんて言われると、絶句…私もそんなの食べたことない…(笑) 

 

良いものを本当によく知っているのです。

 

この人は、日本に限らず世界中の美味しいものを知っている人。

 

そんな人が「総合的にみて、日本が一番美味しいものが多いよ!」と言ってくれるから本当にそうなんだと思います。

 

西洋人と話しても、中国系の人ほど日本について詳しくありません。

 

中国系の人たちは日本の動向をいつもチェックしていて流行にも敏感です。

 

日本のことを毎回褒めてもらい、私が作ったものでもないのにやや気恥ずかしい気持ちに。

 

しかし、日本の製品や文化や食を褒められて悪い気持ちはしませんね。

 

それと同時に、彼らの日本社会の今後について評価は辛口です。

 

働きすぎが原因の「KAROSHI(過労死)」や社会的なプレッシャーが原因と考えられる「HIKIKOMORI(引きこもり)」はそのまま英語にもなっています。

 

「これについて何か知ってる?!」「信じられない!」などよく聞かれます。

 

もちろん世界中の人たちもたくさん時間は働いてはいますが、社会的なプレッシャーよりは個人の意思が最終的には尊重されるため(そして日本人ほど社会の輪のことを重要視していないんだと思います)、過労死や引きこもりのような社会現象に疑問を持たずにはいられないのでしょう。

 

オーストラリアのユニクロ店で、ユニクロで働く女性が長時間労働やいじめで、PTSDになり告発したというニュースがありましたね!

 

定刻通りに帰宅すると何か悪いことをしているのではないかと感じさせる雰囲気があり、週60~80時間ほどの長時間勤務をせざるを得なかったと述べている。また、ある日は翌日午前1時まで働くことになったが、結局、泊まりこみで翌日の仕事に備えなければいけなくなり、父が心配して店に訪れたこともあった、と同記事内で語っている。

エキサイトニュース「オーストラリアのユニクロ従業員がPTSDに? 日本式の働き方は「虐待的」、海外から批判」

 

日本の食・文化は大好きで旅行にも行くけど、日本に住みたい、日本で働きたいとは思わない。

 

日本はこれから成長する国とは思えないから投資もしたくない…

 

これが残念なことに、世界からの日本の評価となっているよう。

 

 

華僑から日本人が学ぶこと

 

文化も言葉も性質も違う日本人に「華僑のようになれ」というのは無理な話。

 

華僑は華僑の、西洋人は西洋人の、日本人は日本人のいいところがそれぞれにあるのです。

 

・華僑 → ビジネスが上手でチャレンジを恐れない。

・西洋人 → 柔軟でゆとりがある。

・日本人 → 仕事が丁寧で信頼できる。

 

この3つが揃うとパーフェクトに近いですね!

 

アジアから羨望の眼差しを受けることの多かった日本ですが、これからの国際化の社会では華僑や西洋人からの学びも取り入れることによって、個人も社会も幸せになれるでしょう。

 

西洋人のように個人の自由を尊重し柔軟な姿勢を取り入れ、華僑のように恐れずチャレンジするということ、そして古き良き日本人らしさを忘れないということです。

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