近年パプアニューギニアの人口は増え、首都ポートモレスビーには地方から働きに来る人も増加しています。
ビジネスで世界中から働きに来る人たち(エキスパット)もパプアニューギニア特にポートモレスビーにたくさん住むようになりました。
まずはパプアニューギニア・ポートモレスビーの不動産の市場の概要を見てみましょう。
Contents
パプアニューギニアの不動産バブル
2008年にパプアニューギニアのポートモレスビーの近くで始まった$19billiom(1兆5千億円!!)の液化天然ガス(LNG)プロジェクトがポートモレスビーの不動産市場を語る上で重要です。
このプロジェクトにより雇用の創出や経済発展が後押しされ、多くのディべロッパーがポートモレスビーに不動産投資を始めました。
街には商業施設が出来たり新しい不動産がどんどん開発され、2008年から2013年まで首都ポートモレスビーは大きく成長発展しました。
結局、LNGプロジェクトで来た人たちはプロジェクトが行われているところにキャンプを建てて住むことになったため、LNGプロジェクト用に建てられた高級マンションは十分な入居数を得ることができませんでした。
そして、価格が高いために一般の人たちは住めないという事態になりました。
2014年、LNGプロジェクトがひと段落し、不動産価格はやや下降傾向にありますが、今もなお全体的には上げ止まっています。
パプアニューギニアの不動産の特徴
パプアニューギニアの不動産を見る時、海外から働きに来るエキスパット用の不動産と、パプアニューギニアの地元の中流層が暮らす不動産は別物として考える必要があります。
両者の不動産は、地域や安全性も異なり、価格帯にも大きな差があるためマーケットが異なります。
現在のパプアニューギニアの不動産の現状はというと、需要と供給のバランスが崩れ、総合して供給過多の状況に陥っています。
人口は増加しているのに不動産の借り手が見つからないのはなぜ?
このLNGプロジェクトのために建設されたエキスパット用高級マンションは、一般家庭のパプアニューギニアの人々には家賃が高すぎます。
パプアニューギニアの中流層が住む家で2LDKなどで平均家賃10万円以上/月、エキスパットが住む家は家賃50万円/月以上が一般的です。容易に5倍以上の開きがあります。
エキスパットの住むマンションがなぜこんなに高額かというと、雇い主である会社や国が彼らの家賃を支払うことが通常でなため、価格交渉や競争が発生しにくいことも1つの理由としてあげられます。
また、同じパプアニューギニアで働いていても、パプアニューギニアの人たちとエキスパットの人たちのお給料も全く異なります。
今もなお、パプアニューギニアの人々の賃金は上がっていないのが現状です。
2018年9月のRadio NZ : PNG to review minimum wage
によると、最低時給3.5キナ(日本円で115円)です。
これは最低時給なので、正社員として良い企業や政府の下で働きもっと収入が高い人も中にはいらっしゃいますが月給10〜20万円が相場です。
パプアニューギニアの一般家庭における不動産価格は一般的な賃金に比べとても高額なことがわかります。
そのため、一般家庭の人々は家賃を折半してたくさんの人数で1つの家に住むことが一般的となっています。
パプアニューギニアの不動産・賃貸が高額な理由
資材を海外からの輸入に頼らないといけないために建設のコストがかさむこと、外貨をPNGに持ってこないといけないこと(または外貨を他国に送る必要があること)、土地・固定資産税の値上がりなどの理由が考えられます。
賃貸の大家の場合はこれらに加えて、
・防犯対策のために24時間警備員複数名を不動産会社が管理する必要があること
・水道・電気料金など公共料金の値上がり(PNGでは公共料金は不動産会社が支払うことが通常です)
・不動産会社がベッドや冷蔵庫、家具など基本的なものを揃える必要があること
などが考えられます。
パプアニューギニアの不動産トレンド
最近では中国企業による「Lower Cost Housing Develpment ( 低価格住宅の開発)が盛んに行われ「Affordable House ( 質は劣るが,値段は安い)」の建築が進み、パプアニューギニアの現地の人たちも「この価格なら夢のマイホームが買えるかもしれない!」と期待を寄せています。
しかし、コスト削減のために木造を使うのではなく発泡スチロールをコイルで巻いているような素材を使用しているところもあり、耐久性・安全性が疑問視されています。
また、パプアニューギニアの銀行は住宅の購入に対するローンの融資を積極的に行わない傾向があり、パプアニューギニアの人々はAffordable houseですら買うことが難しい現状があります。
パプアニューギニアでの不動産価格、不動産購入方法(投資として)
パプアニューギニアの不動産価格はものにもよりますが、オーバープライスであることは確かです。
パプアニューギニアでの就労ビザと現金を持っている場合、外国人でも不動産を購入することは可能です。(個人で様々な制約はあります)
投資としてパプアニューギニアに不動産を買いたい場合は、ディベロッパーなどを通じて購入する方法が一般的です。
まとめ
このようにパプアニューギニア・特にポートモレスビーの不動産市場は、LNGバブルを経験した後、需要と供給のバランスの崩れています。市場の乱れから、住むところは余っているのに、手が届かない人がたくさんいるのが現状です。
しかし、2019年のパプアニューギニアの人口は約800万人、2050年、32年後には2000万人を超えることが予想されています。
このような状況の中でも、人々や社会が少しずつ発展していくことは確かでしょう。
以下、ダニちゃんがパプアニューギニア不動産サイドから見た不動産事情、不動産会社の責任など動画で話していますので参考にしてみてくださいね!
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